松村 劭 『新・戦争学』文春新書

2011.01.04(12:43)
前著『戦争学』もこのブログで紹介させてもらいました。前著では有史2600年の戦史から戦闘教義の変遷と共に戦争の原理原則を考えようと試みていました。本書では第二次世界大戦から朝鮮戦争やベトナム戦争、中東戦争や湾岸戦争などに至る近・現代の戦闘を検証し、急激に変化していく戦略理念を考えていきます。

20世紀の戦争は兵器の急激な改良と進歩によって戦術や戦略も大きく変化していきます。機関銃の登場によって火力が高まり、内燃機関の登場、さらに第二次大戦後は核兵器の登場によって、戦争といえど一定の制限が加わり外交交渉の重要性が増していくことが分かります。また派手な戦略空爆も決定的な勝利とはならないことは、ベトナム戦争や湾岸戦争のその後の治安維持の難しさや、駐留米軍兵の多くがテロによって命を落としていることが証明しています。

また軍事的戦略的観点から見ると驚ほど物事が明快に分かることもあります。たとえば著者は韓国併合は大きな失敗だったとします。しかしその理由は世間一般的な倫理的道徳的なものではなく「朝鮮半島を手に入れたことにより、日本は大陸国家と海洋国家の二つの顔を持った両棲国家となってしまった。これにより国家方針が分裂してしまった(陸軍は大陸指向、海軍は南方指向)」これは私は目から鱗でした。

自分が好むと好まざると各地で戦争が起きていることは事実であり、そのメカニズムや知識を身につけ考えることは予防という観点から見ても決して無駄ではないという著者の主張には説得力がありますね。また所々で現在の自衛隊の方針や内情をチクリとやっている点は結構笑えます。


新・戦争学 (文春新書)


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