佐々木健一『美学への招待』中公新書

2015.05.06(18:33)
久々の本の紹介であります。実は本自体は去年に買っておいたのですがなかなか読む機会がなく積んどく状態だったのでGW中に読破しようとしたわけですね。

第1章 美学とは何だったのか
第2章 センスの話
第3章 カタカナのなかの美学
第4章 コピーの芸術
第5章 生のなかの芸術
第6章 全身を耳にする
第7章 しなやかな応答
第8章 お好きなのはモーツァルトですか?
第9章 近未来の美学

そもそも美学となんだろうというところから始まって、藝術とアート(art)、複製のもつ力の問題、スポーツと藝術、身体性、えいえんの藝術と問題提起の藝術など、美とその周辺にある問題について身近なモノと結びつけつつ論じていきます。

テクノロジーの発達に連れて複製品が価値を持ちだし、それ自体が藝術品の側面を持ち出すと言った指摘があります。なるほど、今までは生の演奏を聞くしかなかったのがレコードに録音され、CDでコピーして劣化がすくなりなり、MP3などのデジタルデータによってさらに手軽に簡単になりました。ナマの演奏が一番かもしれませんが、レコードやCDに全く価値がないわけでもありません。

著者は今までの美学は伝統的なヨーロッパ哲学の影響を強く受け、しなやかさに欠けていることを指摘し、もっとしなやかに、柔軟に受け止め、考察することを提言しています。今までの藝術は自然と向き合うものであり、近代は自然を征服するものであり、そして現代では脱自然化という動きもあります。そうした中で今後の美学とは、人間中心主義を精算し自然の中の一部としての人間を認め、自然美のなかの1つとして藝術美を認識することを提言しています。

著者の佐々木健一氏は東大名誉教授、日本美学会会長、国際美学連盟会長、日本18世紀学会代表幹事を歴任されているこの分野での第一人者といえるでしょう。

本書は出来る限り難解な専門用語を使わずにわかりやすく、とっつきやすい口調で描かれており、まさに美学への招待状としてはピッタリのものでしょう。中公新書やるなあというのが素直な感想です。

美学への招待 (中公新書)


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